ガラスびんのエコ・ヒストリー

“昔は量り売り、今は3R”ガラスびんは、時代のニーズに応えます。

約5000年も前から存在したと言われるガラスびんですが、日本人の暮らしに浸透してきたのは、それほど古いことではありません。 明治時代に国内生産が始まり、大正時代には自動製びん機による大量生産も始まりました。環境への配慮が欠かせなくなってき た今日、ガラスびんは3Rの推進で、環境負荷の軽減に貢献します。

 

 

 

参考文献:「暮らしの中のガラスびんびんからのぞいた生活誌」GK道具学研究所(東洋ガラス株式会社)、「びんの話」山本孝造(日本能率協会)、

「一本のあきびんからリサイクリング事始」山村徳太郎(日本経済新聞社)、「gob」日本ガラスびん協会広報誌


江戸時代 量り売り

ガラスびんが流通する前は「通い徳利」が活躍

 

日本で一般にガラスびんが流通し始めたのは、明治になってか らで、さらに本格的に普及し始めたのは大正後半からのこと。そ れ以前は、「通い徳利」と呼ばれる陶器の徳利が、お店と客の間 を行き来していました。お店は客に徳利を 貸し出し、樽から酒を小分けするという量 り売りが普通で、当時、お金持ちは酒を樽 で買い、貧しい人はその日に飲む量を徳利 で買っていたことから、「貧乏徳利」とも呼 ばれたようです。徳利による量り売りは昭 和初期まで続きました。


1870年(明治3年)リターナブルびん

使い終わった空きびんをリユースするようになる

 

明治の初め頃、舶来のワイン・リキュール・ブランデーなどが輸入さ れるようになり、ガラスびんが日本に上陸。使い終わった空きび んを買い集めて売る商売が生まれました。これがリユースの始ま りで、びん商※の原点です。日本のガラスび んの歴史は、繰り返し使うリターナブルびん から始まったと言えますが、その後、国内で もガラスびんの生産が始まり、1901年には一 升びんに入った清酒が登場。昭和初期以降、 一升びんが量産されるようになりました。

 

※びん商…空きびん(主として、リターナブルびん)を回収したり、 洗浄する業者。全国びん商連合会がある。


1956年(昭和31年)丸正 まる(しょう びん)

計量法の基準に適合した丸正びんが登場

 

1956年の計量法の施行にともない、丸正マークのびんが登場 しました。このマークは計量法の基準に適合した特殊容器(あ る高さまで中身を満たした時に正しい量が確保された透明ま たは半透明の容器)に付けられるもので、一升びんやビールび んや牛乳びんなどに付いています。また、日本ガラスびん協 会がJIS規格原案作成委員会の事務局となって検討を進め、 丸正びんとして要求される要件のうち、形状および 性能に関する技術上の基準および試験の方法を規 定した日本工業規格(JIS規格番号 JIS S 2350) が、2011年(平成23年)5月20日に制定されました。


1974年(昭和49年)リサイクル

びんメーカーがリサイクルの取り組みを開始

 

日本のガラスびんは、昭和になっても、繰り返し使われるのが 一般的でしたが、1970年代にはライフスタイルの変化から、繰り 返して使われないびんが増え始めました。その頃からガラスび んメーカーのリサイクルに対する意識 も高まり、日本製壜協会(日本ガラス びん協会の前身)では、カレットの回 収ルートの拡大、カレットの受け入れ 基準の作成、カレット処理設備の標 準化など、リサイクルを積極的に推進 させる活動をスタートさせました。


1991年(平成3年)エコロジーボトル

混色カレット100%利用のエコロジーボトル誕生

 

無色と茶色以外の「その他の色」として回収される空きびん を、ガラスびんに再利用しようという試みから生まれたエコロ ジーボトル。1990年頃、ワインや焼酎の輸入増加により、緑色の 空きびん在庫が増え、その解決策と してエコロジーボトルが誕生しまし た。カレットを使用することで、原料 や燃料エネルギーを節約できます。 現在、エコロジーボトルの定義は、 「原料投入時において、カレットを 90%以上使用した製品を言います。


2000年(平成12年)Rマークびん

規格を統一したRマークびん登場

 

日本酒造組合中央会が500ml の統一規格びんを企画する際 に、その旨を表示する目的でデザインされたのが R マーク。 日本ガラスびん協会が規格統一リターナブルびんと認定した びんに、R マークを付けることができます。多くの団体にリタ ーナブルびんとして使用してもらえる ように、R マークびんのデザイン(設 計図)を開放しています。R マークの 表示により、空きびんが回収される 際に、リターナブルびんであることを 識別しやすくなりました。


2000年(平成12年)超軽量びん

最も軽量度が大きいびんを超軽量びんと定義

 

日本ガラスびん協会が、びんの軽量度合をレベル Ⅰからレベル Ⅳの4つに分類するL値※を導入。最も軽量度の大きいレベル Ⅳ(L値0.7未満)のびんが超軽量びん と名付けられ、軽量化の象徴となる シンボルマークもつくられました。超軽 量びんも強度維持は不可欠で、各ガラ スびんメーカーでは、びん・金型の設計 技術、成形技術、検査技術を駆使し て、品質の維持向上に努めています。

 


2001~2003年(平成13~15年)エコマーク

ガラスびんのエコマーク認定基準を制定

 

第三者機関(公財)日本環境協会が認定する「タイプⅠ環境ラベ ル」エコマークの対象となるガラスびんは、①軽量びん(L値が 0.7未満)、②リターナブルびん(平均5回以上使用)、③カレット 多利用びん(市中カレットを無色65%以上、茶色65%以上、その 他色70%以上使用)となっており、その信頼性と公平性から、グ リーン購入の際の目安にもなっています。


2003年(平成15年)リサイクルのための 識別表示

リサイクルのための識別を、点字とカタカナで表示

 

ユニバーサルデザインの考え方が広がる社会環境の中、日本 ガラスびん協会では、ガイドライン「リサイクルのための識別表 示」を策定。無色・茶色・その他の色の3色分別に対応し、それ ぞれの色をカタカナと点字の触覚記号を併用して、びんの底部 または裾部に刻印することで示しています。


2008年(平成20年)化粧品びんリサイクル

化粧品びんのリサイクルが本格化

 

従来、化粧品びんの中には、耐熱素材や乳白色素材のびんがあ り、ソーダ石灰素材のびんだけを取り出して、リサイクルするのが 困難でした。そのため、多くが不燃ごみとして回収されていまし たが、化粧品業界の努力により、 現在ではソーダ石灰素材へと変 更され、乳白色のびんを除いて、 資源としてリサイクルすることが可 能になりました。


容器包装に係る分別収集および再資源化の促進等に関する法律

1997年(平成9年)容器包装リサイクル法 各主体のリサイクルの役割が明確化される

ごみの減量化と資源の有効利用を目的に、容器包装リサイ クル法が施行され、消費者・市区町村・事業者の役割が定め られました。ガラスびんでは、消費者は排出ルールを守 る、市区町村は分別収集する際に「無色・茶色・その他の 色」の3色に区分すること、事業者(びんの製造事業者や中 身の販売事業者)は、自らまたは (公財)日本容器包装リサイクル協 会に委託してリサイクルすること が義務づけられています。 2004年からは、産業構造審議会及び中央環境審議会におい て見直し議論が始まり、2006年6月に改正容器包装リサイ クル方が成立・公布され、2006年から2008年にかけて施行 されました。2005年には、容器包装3Rを推進する8素材団 体が、「容器包装リサイクル法への提言」を公表。8 団体に よる 3R推進団体連合会が結成され、2004年度実績を基準 に、2010年度を目標年次とした「事業者による3R推進に向 けた自主行動計画」、次いで2015年度を目標年次とした 「容器包装3Rのための第二次自主行動計画」を設定し、 容器包装3Rに取り組んできました。さらに 2016 年6月 に、2020年度を目標年次とした「容器包装3Rのための第三 次自主行動計画」を策定・公表し、事業者による容器包装 3Rの推進と消費者やNPO、各自治体などの各主体間と の相互理解と連携を深めることを目指しています。毎年度 の取り組みは、引き続きフォローアップを行い、その結果 を公表していきます。